大事なのは「バランスのとれた食事」
喫煙と酒に続いて、4条から6条までの3項目は食事に関してです。
間違っても、「がんを予防する」という噂の食品や栄養素を
大量に食べたりしないでください。
食事に関して最初に掲げられている予防法は
「バランスのとれた食生活を」です。
食物の中には一定の量までなら問題なくても、摂取しすぎると
がんのリスクを上げる可能性がある成分があります。
例えば、肉や魚の焼け焦げに含まれるヘテロサイクリックアミンや、
ハムやソーセージ、漬物などの保存食品に含まれるニトロソ化合物などです。
こういったリスクを分散させるためにも、なにかに偏った
食べ方をせず、バランスのよい食事をしてください。
日本は世界の中で中国に次いで、塩分摂取量が多い国です。
塩辛い食品は控えめにする必要があります。
塩分の摂取量を抑えれば、高血圧を予防し、循環器疾患のリスクを
下げるのみならず、日本人に多い胃がんの予防にも有効なのです。
「濃くなければ不味い」は思い込みで、薄味には1カ月もあれば慣れます。
出汁をきかせ、スパイスや酢などを活用することで、減塩食もおいしくなります。
野菜や果物を豊富に食べることは、特に胃がんに効果的とされています。
食べ過ぎ傾向のある人は、特に野菜を多くとることで、自然に
摂取カロリーを減らすことができるので、おすすめです。
なお、12条には掲げられていませんが、飲食物を熱い状態でとることが
食道の炎症やがんを引き起こす可能性があるとされています。
熱いものを好むよりも、猫舌のほうががんにはなりにくいと言えます。
●欠かせない毎日の運動と適切な体重維持
デスクワークをしている現代人は極端な運動不足です。
毎日合計1時間程度のウォーキングくらいの運動と、週に1回は
1時間くらいの早歩きや30分くらいのランニングを行いましょう。
適度な運動はがんだけでなく、心血管病や糖尿病、高血圧などの
リスクを下げてくれます。
健康的に長生きするためには、運動が欠かせません。
適切な体重維持というと、痩せるダイエットを思い浮かべるでしょう。
しかし実は欧米とは異なり、日本人の場合、肥満とがんとはそれほど
強い関連がありません。
腹八分目は心がけるべきですが、日本人の場合、むしろ栄養不足で
免疫力が下がったり、血管壁がもろくなったりすることが心配されます。
極端な肥満とやせすぎに注意しましょう。