珍しいお茶や飲み方
●泡立てて飲むお茶
お茶を泡立て、穀物や豆、漬物を入れて食べるお茶が
あります。
代表的なのが島根県松江市の「ぼてぼて茶」です。
ぼてぼて茶は、番茶を煮たものに塩を加えて泡立て、赤飯や
黒豆、漬物などを入れて食べるもので、奥出雲の製鉄職人の
間食に由来するとされています。
「ぼてぼて」は番茶を泡立てるときの音を表すともいわれ、
現在は松江市内の茶店や郷土料理店で食べることができます。
ぼてぼて茶と同様に泡立てて飲むお茶には、沖縄県那覇市の
「ブクブク茶」、富山県朝日町の「ばたばた茶」などがあり
ます。
●発酵させるお茶
日本茶のほとんどは不発酵茶ですが、各地には微生物を
使って発酵させるお茶がわずかながら存在します。
これは微生物による発酵過程を経て作られる「後発酵茶」に
当たり、高知県大豊町の「碁石茶」、徳島県上勝町・那賀町
の「阿波番茶」がよく知られています。
他に、岡山県美作市の「美作番茶」、前述した「ばたばた
茶」も同様に微生物による発酵過程を経て作られるお茶です。
これらのお茶は、いずれも独特の香りと味を持っていること
が特徴です。
例えば碁石茶は、漬物と同様に乳酸菌を使って発酵させる
ため、ほのかな酸味と漬物に似た味を持っています。
碁石茶の主な消費地は高知県ではなく、伝統的に瀬戸内地方
で「茶粥」に使われています。
これは瀬戸内地方の塩分を含む井戸水との相性が良かった
ためといわれています。
●好みのお茶を求めて
これまで紹介してきたように、世界には多くのお茶がありま
すが、日本茶だけでもこれだけの奥深い世界が広がっている
ことが分かるでしょう。
また味も種類も多種多様であり、各地の歴史や風俗と密接に
結びついているお茶も多くあります。
観光などで旅行する際、テーマのひとつとして「お茶」を
据え、自分の好みに合ったお茶を探したり、名所探訪、食事
や土産探しなどを楽しんでみると、今まで見えてこなかった
お茶の楽しみに気付くのではないでしょうか。