血管を若返らせる
2021/08/18
動脈硬化とは
血の流れが悪くなり、どこかの血管が詰まったり、硬くなった血管が破れたりすると、そこから先に血が届かなくなります。
血は体の隅々に栄養と酸素を送り届ける役割を果たしているので、血が届かなくなった場所の組織は死んでしまい
ます。
そこが脳なら脳梗塞で、半身付随になったり、言葉が話せなくなったりします。
そして、心臓なら心臓の一部の筋肉が死ぬ心筋梗塞になり、激しい胸の痛みが起こります。
脳でも心臓でも致命的な部分がだめになり、死んでしまうことが少なくありません。
健康に長生きしたいなら、血管を若返らせることが大切です。
コレステロールは血管の支配者?
コレステロールは体になくてはならない存在です。
脂肪の消化を助ける胆汁酸をはじめ、ホルモンや細胞膜を作るのにはコレステロールが欠かせません。
善玉コレステロール、悪玉コレステロールという言葉もよく聞く言葉でしょう。
しかし食品に含まれるコレステロールに善玉も悪玉もありません。
善玉や悪玉はあくまで体内での話です。
悪玉コレステロールと呼ばれているLDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを体のあちこちの細胞に運ぶ役割を持っています。
善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールは、血中の余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す役割を果たしています。
どちらも大切なのです。
しかし、脂肪、コレステロールの過剰な食事を続けていると、LDLコレステロールが増えて、血中にコレステロールがあふれ、血液がスムーズに流れにくくなります。
やがて血管の壁に傷がつき、その傷からLDLコレステロールが血管壁の中に入り込み、そこで酸化して酸化LDLコレステロールに変わります。
酸化LDLコレステロールは体にとって異物なので、体内の掃除屋である単球がやってきて、酸化LDLコレステロールを取り込んで、マクロファージ(大食細胞)に変身します。
マクロファージにはコレステロールを分解する力はなく、酸化LDLコレステロールを次々に取り込んだマクロファージはやがて血管壁に沈着して、粥状のコブを作り、血管内腔、つまり血の通り道を狭めます。
この粥状のコブ「脂質プラーク」は柔らかくて破れやすく、これが破れると、補修のために血小板が集まり、血液の塊「血栓」ができます。
こうして血管は次第に狭まっていきます。
さらに血栓が血液と共に流れていき、血管の細い部分で詰まって、脳梗塞を起こすこともあります。
コレステロールは体に必要ですが、どんなものでも摂りすぎれば体に害を及ぼします。
血中のコレステロール値が高くなる原因
問題とされる「脂質異常症」は、血液中の脂質が多すぎる中性脂肪それ自体は動脈硬化の原因にはなりません。
しかし中性脂肪が多い状態だと、LDLコレステロールが増え、HDLコレステロールが減ってしまい、結果として、動脈硬化を進行させます。
食事や運動不足が脂質異常症の原因とされますが、同じような食事、生活習慣で暮らしていても、脂質異常症になる人とならない人がいます。
コレステロール値を下げる食事法
コレステロールの多い食品としては、鶏卵の黄身や、いくらやタラコなどの魚卵などが挙げられます。
健康体の人は、コレステロールの多い食品を特に避ける必要はありません。1日のコレステロールの適切な摂取量は300mg以下とされています。
健康な人なら1日1個程度の鶏卵を食べて問題ありません。
ただし、悪玉と言われるLDLコレステロールの値が高い、あるいは善玉といわれるHDLコレステロールが低いなど脂質異常症を指摘されている場合には、コレステロールの多い食品は避けましょう。
コレステロールを適切量に下げる働きがあるのが、EPAやDHAです。鰯や秋刀魚、鯖などの青魚や鮭、たらなどに多く含まれています。
キノコや豆類、海藻に多く含まれている食物繊維は余分なコレステロールを体外に排出する働きを持っています。
できるだけ毎食、特に食事の最初にしっかりと繊維質の食品を摂るようにしましょう。
コレステロールが問題になる原因の1つとして、酸化LDLコレステロールがあります。
体の酸化はコレステロールによる血管の老化のみならず、体のさまざまな老化の原因でもあるので、酸化を避けることは若返りにおいて重要です。
酸化した油は誰もが避けたい食品です。
開封してから時間が経ったポテトチップスなどのスナック類や市販の揚げ物の入ったお惣菜やお弁当類はできるだけ食べないようにしましょう。
逆に活性酸素を除去してくれるのが、ビタミンCやビタミンE、βカロチンなどの抗酸化ビタミンやポリフェノールです。
レンコンやブロッコリー、日本茶などを積極的に摂りましょう。
コレステロール値を下げる運動法
かつてはいったん血管内にできた脂質プラークは減らすことはできないと考えられていました。
しかし、現在では善玉のHDLコレステロールを増やせば、プラークの中にたまったコレステロールを回収してくれ、プラークを減らすことができることが分かっています。
HDLコレステロールは、有酸素運動を行うことで増やせます。
有酸素運動はウォーキングや水泳など酸素を取り込みながらゆっくり少しずつ力を発揮する運動のことです。
強度の有酸素運動がHDLコレステロールの増加に役立ちます。
最も手軽で効果的なのは歩くことです。
1日1万歩が理想とされていますが、厚生労働省の調査では、20歳以上の男性の平均値は7139歩、女性の平均値は6257歩にしかすぎません。
目安はだいたい1日100分です。万歩計を身に付けて、意識していけば、それほど難しくはないでしょう。
血管を若返らせるポイントです。